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宇宙旅行にかかる費用は?!今後どうなるをまるごと解説!!

2021年5月の初めに日本人宇宙飛行士の野口壮一さんが、
アメリカの民間宇宙船クルードラゴンで
国際宇宙ステーションから無事に帰って来たニュースは、
記憶に新しいところですね。

野口壮一さんは2020年11年に同じクルードラゴンに乗って
国際宇宙ステーションに行き、
約半年間滞在されていました。

このニュースは民間が開発した宇宙船で
国際宇宙ステーションまで行って
帰って来たということと、

その一人が日本の方だということが、
さらに宇宙を身近に感じさせてくれました。

もうひとつ素敵なニュースがあります。

それは野口さんと入れ替わりで星出彰彦さんが
国際宇宙ステーションに行かれたのですが、
7月の上旬の夕方に宇宙の生活を小学生向けに
ライブ配信で
学習イベントを開くと
文科省から発表がありました。

これは子供たちにとって宇宙に興味を持たせることに
大いに役立つでしょう。

私の時代もこんな授業があったならと
羨ましく感じました。

アポロ11号が月に着陸してから50年あまり、
これからは宇宙へ行く日本人も科学者のような特別な人だけでなく、
誰もが行くことが出来る時代はもう目の前。

こんな時代にぴったりの宇宙旅行サービスを
まとめて紹介します。

 

Contents

民間人の宇宙旅行の始まり

 

 

世界で初めて宇宙飛行士以外で宇宙へ行ったのは、
アメリカ人の実業家のデニス・チトー氏です。

2001年4月にデニス氏はロシアの「ソユーズ」という
宇宙船で
国際宇宙ステーションまで行き、
1週間滞在して戻ってきました。

費用は約24億円。

ロシアはその後も3人乗りの1席を民間に提供し、
11人あまりが宇宙旅行を経験しました。

実は民間人として良いかどうかわからないのですが、
デニス氏が宇宙へ行った年から11年前(1990年)に
日本人の秋山さん(TBS社員)が「ソユーズ」で宇宙へ行っています。

この人が世界初の民間人だったのかもしれませんね。

費用は当初2000万ドル(約20数億円)だったのですが、
実際には放映権などあとから追加料金があり、
40億円以上も掛かったのではないかと言われています。

そのころロシアと肩を並べる宇宙開発先進国アメリカは、
使い捨てロケット方式から何度も使いまわせる
「スペースシャトル」を
運用していました。

「スペースシャトル」の運行費用は、
1回の打ち上げが約500億円と言われています。

「スペースシャトル」は、宇宙船を何度も使って
費用を抑えようと考えられましたが、
打ち上げる時のロケットや燃料タンクの使い捨て、

人が乗る「オービタ」という宇宙船部分を
再利用する為のメンテナンス費用が、
かなり掛っていたようです。

仮に「ソユーズ」と同じように「スペースシャトル」で
民間人を乗せる運用をすると仮定します。

7~8人乗りを10人乗りに改造して
パイロットなしの自動運転で運用しても
1人あたり20数億円では赤字になるでしょう。

ただ「ソユーズ」に比べると乗りごこちは、
最高のようです。

こんなにお金が掛かるとすると、
まだまだ民間人が宇宙旅行をすることは非現実的です

「スペースシャトル」の運用も莫大な費用が掛かるので
2011年に終わってしまいました。

ロシアも運用開始から40年も「ソユーズ」を
使っている訳のひとつは、
アメリカのように新しい宇宙船開発に
掛ける予算が
足りないのが実情です。

そのためロシアは「ソユーズ」の改修、改良に力を入れて、
発射時のトラブルでは脱出装置が働くなど、
今では有人宇宙船として長年事故もなく
世界で1番安全な宇宙船となっています。

NASAは「スペースシャトル」計画を教訓として
政府主導のコスト意識の低い状況を
民間の力を借りて変えて行くことに期待しました。

そして民間のスペースX社の参入を受けました。

そして出来上がったのが宇宙船「クルードラゴン」。

国際宇宙ステーションに貨物を運ぶ
ドラゴン補給船の運用を2010年に始めて、
2020年には人を乗せた運用を成功させました。

「スペースシャトル」が引退して以来
NASAはロシアに1人約86億円を払って
「ソユーズ」で国際宇宙ステーションに
宇宙飛行士を送っていましたが、
それも終わりですね。

「クルードラゴン」は7人乗りで
1人あたりのコストは約58億円

大幅な節約になったようです。

今ではNASA(アメリカ航空宇宙局)が、
スペースX社とボーイング社と契約を結んでいて、
今後2社が打ち上げる宇宙船の座席を
NASAが購入することになっています。

スペースX社の成功は、
民間の宇宙旅行企業にはずみをつけたと言えるでしょう。

日本でも政府が2017年に「宇宙産業ビジョン」を発表して、
2018年には宇宙活動法がつくられ、
民間のロケット打ち上げが出来るようになりました。

まだまだ日本が打ち上げる衛星は、
国やJAXA(宇宙航空研究開発機構)が主導ですが、
民間にも促進をはかり宇宙産業市場規模の拡大を目指しています。

 

民間の宇宙旅行サービス企業

 

世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)が発表した資料からすると、
2018年の世界の観光産業が世界経済に直接寄与している額が

約968兆円

その内日本の旅行産業規模は

約40兆円。

今後宇宙旅行サービス産業がこれに加わっていくことになりますが、
その規模は2030年までには5,000億円、1兆円、

いや1兆5000億円とも言われています。

では宇宙旅行サービスを担っていく運営会社と
サービス内容を紹介していきますね。

無重力を体験する小宇宙旅行

 

 

  1. ヴァージン・キャデラック 

    費用は1人約2750万円

    ヴァージン・キャデラックがサービスする宇宙旅行は、
    飛行機タイプの宇宙船「VSS Unity」は
    乗員2名、乗客6名を乗せることのできる宇宙船です。

    飛行機のように離陸し高度15kmで親機から切り離して、
    エンジン噴射によってさらに高度を上げます。

    高度110kmに到達すると落下し始め、
    4分間程度の無重力状態を体験できるツアーです。

    高度が12kmまで下がるとまた飛行機モードにもどり
    滑空して地上に戻ってきます。

    所要時間は出発から戻ってくるまで約90分。

    ヴァージン・キャデラックのホームページはこちらから
    Mission (virgingalactic.com)

     

  2. ブルーオリジン 

    費用は1人約2200万円

    ブルーオリジンが独自開発した再利用できる
    「ニューシェパード」
    という宇宙船を使い、
    打ち上げ後地上100kmまで上昇し、
    ここでクルーカプセル(先頭のカプセル部分)を切り離します。

    切り離されたクルーカプセルは自由落下をし始め、
    ヴァージン・キャデラックの「VSS Unity」と同じように
    約3分間の無重力体験が出来ます。

    クルーカプセルは地上に近づくとパラシュートを開いて
    ゆっくり戻ります。

    ロケット部分は垂直状態で落下していき、
    地上が近づくとが逆噴射をしゆっくりと地面に着陸します。

    実証実験が2021年4月15日に見事に成功しました。

    この時の動画がブルーオリジンのホームページに
    上がっていますので、ぜひ見て下さい。

    ブルーオリジンのホームページはこちらから
    Blue Origin | Home

     

    打ち上げたロケットが逆噴射して
    地上に無事戻ってくるなんて、
    ほんとうに未来の映像を見ているようでした。

    まるでスペースファンタジーそのものです。

     

    ヴァージン・キャデラックの方が
    無重力状態の時間が1分長く、
    スタートから地上に戻るまでも時間も長いです

    ですがブルーオリジンが500万円ほど安いので
    甲乙つけがたいですね。

    またこのくらいの値段なら頑張れば
    なんとかなるかもしれませんが、
    庶民にはまだまだ高いですね。

滞在する本格宇宙旅行

 

  1. スペースXの国際宇宙ステーション滞在旅行 

    費用は1人約60億5000万円

    スペースXはアクシム・スペース社と提携して、
    実績のある宇宙船「クルードラゴン」を使い
    国際宇宙ステーションに8日間滞在する

    3名の宇宙旅行を計画しています。
    参加した民間人は国際宇宙ステーションに滞在中は
    勤務する宇宙飛行士の仕事の邪魔にならない範囲で
    自由に滞在を楽しむという内容。

    実際に2021年の1月26日に
    提携先のアクシム・スペース社が、
    民間人4人を国際宇宙ステーションに
    滞在するミッション(宇宙旅行)の発表をしました。

    搭乗者は元NASA宇宙飛行士で同社副社長以外は、
    アメリカ人、カナダ人、そしてイスラエル人の
    3人の民間人とで計4人。

    宇宙船はスペースXの「クルードラゴン」を使い、
    国際宇宙ステーションに8日間滞在する予定。

    実現すれば史上初の民間主導で複数の民間人が、
    国際宇宙ステーションに滞在することになり、
    宇宙旅行の商業化に向けた
    新しい1歩を踏みだすことになるでしょう。

    国際宇宙ステーションの宿泊費(滞在費)は、
    400万円らしいですから行き帰りの交通費(宇宙船とロケット)が
    1000分の1の600万円くらいだと1泊で合計1000万円。

    このくらいならもしかすると行けるかもしれませんね。

    スペースXはもうひとつプランを考えていて、
    「クルードラゴン」に最大4人乗せて、
    地球を回る旅行プランを準備中だそうです。

    2022年の初めころのサービス開始予定です。

    スペースXのホームページはこちらから
    SpaceX

     

  2. スペース・アドベンチャーの

    国際宇宙ステーション滞在旅行費用は1人約45億円

    スペース・アドベンチャーの宇宙旅行サービスは、
    ロシアの宇宙船「ソユーズ」を利用して
    国際宇宙ステーションに滞在するツアーです。

    元々ロシアが2022年から宇宙船「ソユーズ」で、
    国際宇宙ステーションに行く宇宙旅行を
    25.7億ルーブルで売り出したのが、
    きっかけになっています。

    ロシアの国営宇宙公社ロスコスモスと
    アメリカのスペース・アドベンチャーが
    提携して宇宙旅行ツアーを提供。

    「ソユーズ」は 世界で1番運用実績がある宇宙船で、
    安全性も高い宇宙船ですし、何と言っても安い。

    「クルードラゴン」と比べて約15億円も安い計算。

    2021年5月13日のニュースで
    衣料品通販大手のZOZOの創業者、
    前澤氏が2021年12月にロシアの「ソユーズ」で
    国際宇宙ステーションに滞在すると発表がありました。

    実現すれば間違いなく、日本の民間人第1号ですね。

    スペース・アドベンチャーは、
    他にも地上で宇宙飛行士訓練ツアーや
    大気圏内無重力ツアーなども企画しています。

    あとは月を回って帰ってくるツアーも
    作る予定ですがとてつもなく費用が掛るのでしょうね。

    スペース・アドベンチャーのホームページは
    Circumlunar Mission – Space Adventures

     

     

  3. ゲートウェイ財団

    このゲートウェイ財団は最大450人が滞在できる
    宇宙ホテルを
    2027年までに建設するというものです。

    回転型のロータリーデザインの巨大ホテルを
    作ろうと言うのですからどんなものか考えも及びません。

    中央には宇宙船のドッキングステーションを設け、
    宿泊客はここからチューブを通って
    部屋へ移動する作りになっています。

    ゲートウェイ財団以外にも
    宇宙ホテルの建設を目指すプロジェクトが
    いくつも立ち上がっています。

 

宇宙を経由した旅行

 

 

  1. スペースX

    スペースXは将来の飛行機の代わりに宇宙区間を飛行する
    スペースプレーン(飛行機型宇宙船)も開発計画を立てています。

    もし完成すれば今ある航空機の近距離運用を除き、
    すべて無くしてしまいそうなインパクトを
    もっているのではないでしょうか?

    スペースXでは100人乗りのスペースプレーン
    「ビッグファルコンロケット」を開発し、
    ニューヨーク、上海を39分で結ぶことを目指しています。

     

  2. ストラトローンチ・システムズ

    スペースXと同じように
    ストラトローンチ・システムズでも翼幅約120mの
    スペースプレーン「ストラトローンチ」の
    開発計画が進んでいます。

    実証機では極超音速を出せるように設計してあり、
    ッハ6というとてつもないスピードでも
    耐える機体設計となっていて、
    SFの世界に出てくるような
    乗り物になるでしょう。

     

    2022年には試験飛行を始める予定なので、
    スペースXの「ビッグファルコンロケット」より早く
    実用化するかもしれませんね。

 

日本の民間プロジェクト

 

 

ここまで民間宇宙旅行プロジェクトで
し烈な競争を繰り広げている海外勢を
紹介して来ましたが、

日本にも日本製スペースプレーンを
開発しようとしているプロジェクトがあるんですよ。

それがスペースウォーカー
日本発のベンチャー企業です。

そして東京理科大学と共同で進めている
スペースシャトルのような
再利用型宇宙船の開発を行っています。

 

スペースウォーカーはこれまでJAXAが
手掛けてきた
有翼飛翔体HIMESや、
宇宙往還技術試験機HOPE-X
などに携わっていた
東京理科大の米本教授を
最高技術責任者に向かえて、
IHI、川崎重工、JAXAなどを巻き込み
オールジャパンで海外勢に負けまいと
研究開発しています。

1回の打ち上げ費用を抑えて100万円で宇宙旅行が
できるようにするのが目標。

2022年に科学実験用スペースプレーンの打ち上げ、
2027年には全長16m重さ18.7トンの
有人スペースプレーンに乗員2名、乗客6名を乗せて
120kmまで打ち上げる予定。

乗客は3分間無重力を体験することが
出来るようになります。

日本でもあと5、6年後には
日本製のスペースプレーンロケットで
今より格段に安く宇宙体験が
出来るようになりそうです。

 

宇宙旅行に関する法律

 

宇宙に関する法律は国際法としてありますが、
国と国との条約は 国際法で決められた宇宙条約に準じています。

世界的な民間の宇宙産業への参入で、
宇宙ホテルを作ろうとすると
宇宙空間は誰のものでもありませんから、
国境を超えた私と私間の法律が必要となります。

宇宙区間で起きた事故が
どこの国の法律で解決するのかを決めたものが
国際私法です。

日本国内でも民間の宇宙産業への参入が
促進されています。

そこでできたのが宇宙活動法。

日本国内から人工衛星の打ち上げや管理、
打ち上げ時に第三者に与えた損害賠償に
関するルールを定めています。

こうして新しく宇宙に関して起こったことを収める為に
必要になるでしょう。

 

宇宙旅行の未来

身近な無重力体験から宇宙ステーションに
滞在や地球を周回ツアーなどの
宇宙旅行を紹介してきました。

またJTBの有名旅行雑誌「るるぶ」が宇宙旅行情報を
まとめた宇宙ガイド「るるぶ宇宙」を2021年3月に発売しました。

JTBは以前ロシアの「ソユーズ」に乗って
国際宇宙ステーションに
行くツアーを
販売していましたが、

これからの新しいレジャースタイルとして
宇宙を選んだのでしょう。

今後もこの流れは広がって行きます。

これからは月面に基地や民間人が住める
住居なども作られる時代も
すぐ来ます。

その次は火星に移住を希望する人々も
出て来ることでしょう。

宇宙産業に民間の力が加わって開発が
加速度的に発展しそうですが、

民間の宇宙への参入は、
まだまだ始まったばかりです。

 

まとめ

ここまで宇宙旅行を中心に宇宙のあれこれを
紹介して
来ましたがいかがでした?

これまで宇宙開発は国の威信を賭けての
一大プロジェクトでした。

まだまだ民間だけでは解決できない難しい問題や
技術的にも出来ないことがたくさんあることもありそうです。

法整備も十分かどうか、
まだはっきりと分からないことも
あるのではないでしょうか。

今後、安全性の確保がもっと必要でしょう。

加えて何かの時の保険の整備も必要になって来ます。

誰もが行ける安全な宇宙旅行は、
費用面も含めてまだ多くの準備が入りそうですね!